3人は、社会科準備室に入って行った。

「けほっ。空気悪っ。」

璃麻は、埃っぽい部屋の空気を入れ替える為、窓を開けた。

「少しは、マシかな。さてと、奈津。何かあったの?」

「何かあったって・・・。」

「昨日、奈津を見かけたら元気なさそうだったから。」

少しの沈黙の後、奈津は呟いた。

「・・・・・・あたし、もう帰りたい。」

奈津は、目に手を当てて俯いた。

竜兎と璃麻は、困ったというようにお互いを見合わせた。

「ホームシックか?」

「・・・うぅん・・。」

奈津は首を振りつつ、答える。

「私、この時代に向いてない。・・・無理。」

「無理って・・・。」

「おかしくなりそう・・・。もうどうしていいか良く分からない・・・。

家族とは、上手く溶け込めないし、友達と話してても、なんか自分だけが浮いてるような気がするし・・・。」

「奈津・・・。」

「それに・・・。魁と話せないって、けっこう辛い・・・。」

璃麻は、奈津をぎゅっと抱きしめた。

そんな中、竜兎は、不思議そうな顔をして、言った。

「奈津。オマエ、まだ魁のこと好きなの?」

「・・・うん。どうして?」

「さっき、俺、魁と話したんだ。そしたら、魁、『奈津は、もう俺のこと好きじゃないみたいだし』って言ってた。」

「なんで?」

「・・・・・・オマエって結構冷めてるトコあるからな。」

「・・・冷たくしてるつもり、ナイけど。」

「相手が、どう感じてるかなんてわかんないぞ。思ってること、素直に魁に言ってみろ。」

「思ってることって?」

「好きだとか、話したいとか・・・。」

「規則があるから、話せない・・・。

きっと、アタシが話しかければ、魁は迷惑がる。

魁は、破らなくてもいい規則を破る事になるんだし。。

とにかく、あたしのワガママで魁を困らせるのは嫌。」

「・・・迷惑だなんて思わないと思う。

現に俺は、そうだった。

話せなくて辛いのは、魁も同じハズだよ。」

「・・・竜兎と璃麻は、お互いが好きだから、そう思うんだよ。

あたしと魁は違う。

付き合ってるとか言っても、あたしだけが魁を好きってカンジだし・・・。」

「・・・・・・そうかな?あたしには、そうは見えなかったけど・・・。

むしろ、魁の方が奈津のこと想ってるように見えた。」

「・・・俺も。」

「ち・・・違う。魁は・・そんなこと・・・。」

「・・・なぁ、奈津。この時間、オマエなんの授業?」

竜兎は窓の外の一点を見つめながら、そう奈津に訊ねる。

「・・・・・・何?急に・・・。

この時間って・・・。あ・・もう授業始まってる・・・。」

「とっくに、チャイムなったぞ?気づかなかったのか?」

「・・・・・・どうしよう・・・。

何してたって聞かれたらどうしよう・・・。

サボりましたなんて言えない・・・。」

「・・・言うな。バカ。」

「じゃあ、何て言えばいいの?あたし、演技なんて出来ない・・・。

私の所為で未来から人が来ているなんてバレたらどうしよう・・・。」

「どうしてそこまで話が発展するんだ・・・?」

「もうヤダ。毎日、びくびくしながら暮らしていくのに、ホントに疲れた・・・。」

「・・・奈津は、慎重すぎるんだよ。

ばれたら、ばれたで何とかなるんだし、もっと気楽にいこ?」

「気楽に・・・。」

「うん!失敗したって何とかなるからっ!」

「・・・一人じゃないんだ。困ったら助けてやる。心配すんな。」

「・・・ありがと。なんか元気出た。」

「・・・ねぇ、なんで竜兎は、奈津の授業が何か、知りたかったの?」

「・・・あの音楽室の窓側の席に魁がいるんだ。」

「えっ?」

璃麻と奈津は、窓の外に目線を向けた。

確かに、向かいの校舎にある音楽室の窓側の席に魁は居た。

「魁は、あそこからずーっと、グラウンド見ててさ、まさかと思うけど、奈津を見ているんじゃないかって・・・。

この授業って体育?」

「・・・。」

奈津は、返事をする代わりに首を縦に振った。

信じられないというような顔つきで。。。

「さっき、魁と二人で話してた時な、授業終わる間際に、魁は、急用とか言って、どっか行ったんだよ。

もしかしたら、グラウンドが見える席を取りたかったからかもしれないな。」

「・・・・・・魁。」

「魁はな、『奈津の気持ちが冷めてんのに、俺がこれ以上奈津のこと思い続けてもそれは無駄だ』って言ってた。

きっと、そうやって自分に言い聞かせてるんだと思う。

このまま、魁を誤解させたままにしてていいのか?

終わるよ。間違いなく。」

「・・やだ。」

「じゃあ、魁に素直に自分の気持ち、話すんだな。」

「うん。」

「頑張れっ☆」

「頑張る!!・・・あ!!」

「何!?」

「授業サボった言い訳・・・どうしよう・・・。」

「・・・保健室行ってたって言え。」

「あ、あたしもそれ使お。」

「さ、三人ともそれかよ・・・。」

「・・・・・・・・・・・・。」

「ま、なんとかなるでしょ。」

「・・・だな。」






  


番外編(こちらを読んでも、REAL18に繋がります。)
REAL16.5



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