竜兎が教室に戻る途中、廊下でばったり璃麻に遇った。
「「あ。」」
(そういえば、璃麻がさっき、次の時間は体育だって言ってたっけ。)
璃麻と一緒に居た来夏は、気を利かせて言った。
「璃麻、先に行ってるね。」
「うん。ごめんね。」
来夏が居なくなると同時に、璃麻は珍しく竜兎を軽く睨んで言った。
「ねぇ、何でココにいるの?授業は?」
「・・・別に。」
「タバコの臭い、するんですけどね。神童君?」
「え?マジ?」
竜兎は、慌てて制服の匂いを嗅いだ。
「・・・・・・はぁ・・・。どうしてタバコ吸うの?見つかったらどうするの?」
「そんなヘマはしない。」
「どうだか・・・。とにかく、ココでは、竜兎はまだタバコ吸っちゃいけないんだから・・気をつけてよ?
そもそもタバコは身体に良くないんだからね!」
「璃麻は、相変わらずタバコ嫌いだよな・・・。」
「当たり前です。あんなの吸っていいことなんて一つもない!」
「・・・・・・。」
竜兎は、腕時計を見た。
(3・・・2・・・1・・・。)
キーンコーンカーンコーン。
「さてと、授業終了っと。次の授業行こ。」
「コラ。竜兎っ!」
「わかってる。もう吸わない。・・・・・・多分・・・。」
「今、多分って言ったでしょ!多分じゃないの!!」
「・・・・・・そういえば、奈津ってどのクラスか知ってるか?」
「奈津?えーっと、奈津はね、E。Eクラスだよ。」
「そっか。Eか。ありがと。」
「でも、何で奈津のこと聞くの?」
「別に。ちょっと気になったから。」
「・・・魁?」
(・・・スルドイ。)
「・・・。」
「・・・魁に会ったんでしょ?タバコ、魁に貰ったんだ。やっぱね。このニオイ、竜兎の好きな銘柄のタバコじゃないし。。。」
璃麻はそう言いながら、竜兎の制服の匂いを嗅ぐ。
「エ?そんなことまで分かるのか?」
「うん。なんとなくだけど。とにかく、いいかげん、やめてくださいよ。竜兎サン?」
「・・・努力する。」
「・・・それは、そうと、奈津に会いに行くつもりなの?」
「・・・?あ、あぁ。」
「奈津、なんか、元気なさそうだったんだよね・・・。」
「元気がない?」
「うん。昨日?かな。見かけたとき、ちょっと険しそうな顔してた。」
「・・・なんでだろ?」
「さぁ?あたしも、気になってたんだ。話したいな・・・。」
「話したいって言ってもな・・・。どうやって・・・。」
「えーっと、ねぇ・・・。竜兎、噂をすれば・・・奈津発見!」
「はっ?あ、ホントだ。」
竜兎と璃麻の目線の先には、一人の女の子が大きな荷物を持ちボーっと歩いていた。
その女の子とは、紅柳奈津。彼女もまた、未来からホームステイをしに来ている一人だった。
運良く、周りには人が居ない。
話しかける絶好のチャンス。
「奈津っ。何してんの?」
「・・・何って・・。授業の片付け。」
「どこ行くの?」
「社会科準備室。」
「・・・じゃ、ちょっと付き合えよ。」
「無理。規則破りたくナイ。」
「・・・大丈夫だって、規則破っても大丈夫だったし。」
「そーゆー問題?」
「ウン。」
「はぁ・・・。ま、いいよ。社準で聞く。」
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