ピンポンパンポーン


『1年B組桐谷璃麻さん。至急、職員室までお越しください。』


ランチタイムの途中、邪魔をするかのように、スピーカーから、璃麻を呼ぶ放送が流れた。

(これはきっと、未来から来ている監視係の先生からの呼び出しだろうな・・・。)

璃麻は、ちょっと言ってくると一言来夏に言い、職員室へと向かった。



職員室に向かう道のりは、璃麻にとって、とても長いように感じられた。

職員室の前に着き、まず、大きく深呼吸をした。

そして、ドアをノックし、開けた。

「あのぉ・・・。先ほど、放送で呼び出しを受けた桐谷ですが・・・。」

「あ。呼んだのはワシじゃよ、ワシ。さて、生徒指導室に行こうかの。」

璃麻のことを呼び出したのは、年配の先生だった。

(この人が未来から来た先生なのかな?

そんな風に見えないけど・・・。)

璃麻は、その先生の後を疑わしげについていった。

生徒指導室に着くと、先生は、まず、窓を開けた。

「暑苦しいのぉ、この部屋は。さてと、本題に入ろうか。」

「・・・はいっ。」

「どうしてココに呼ばれたか分かってるか?」

先生の口調が急にきつくなった。

「・・・・・・えっと・・・。」

「如月、あれほど言ってあっただろ、未来人同士の不必要な会話は禁止と。」

璃麻は、先生の顔をまじまじと見た。

(この先生ってもしかして・・・。)

「森本教授?」

「なんだ?」

璃麻はあからさまにホッとした。

未来から来ている監督係の先生とは、璃麻たちがよく世話になっていた大学の教授だった。

「何で変装なんてしてるんですか?知らない先生と話しているのかと思いましたよ。・・・良かった。」

森本教授は、見事に、変装していたので、話してみるまで、その人が教授だとは分からなかった。

多分、こうやって話す機会がなければ、ずっと、彼が教授だとは分からなかっただろう。

「良かったじゃない。まったく・・・。

俺は、お前達に気づかれないように、こうやって変装をして、見守ってやってるんだ。」

「監視の間違いじゃ?」

「うるさい。

まったく、今年の奴らは問題児が多くて、これから上手くやっていけるか心配だよ。

それはそうと、やっぱりお前達が最初に規則を破ったな。そうなると思ってたんだ。」

「あのぉ・・・。私、強制送還になるんでしょうか?」

「・・・・・・・・・。」

森本は、音を立てないように静かに立ち上がり、勢い良く生徒指導室のドアを開けた。

その瞬間、誰かが、生徒指導室の中に転がり込んできた。

「うわっ!!」

「り・・・りゅうとっ!!」

そう、生徒会室の中に入ってきた人物は、竜兎だった。

ドアの外で聞き耳をたてていたらしく、森本がドアを開けると同時に、生徒指導室の中に入ってきてしまったのだった。

「水城。何をしているんだ。何を。」

「・・・・・・ちょっと、通りかかっただけです・・・。」

「うそつくな、うそを。」

「ホントですよ。」

「さてと、二人ともそこへ並べ。お前達の処分を言い渡さないとな。」

竜兎と璃麻は、深刻な顔をし、お互いの手を握り締めた。

「お前達二人には、追加の設定を覚えてもらう。」

「追加の設定??」

「そうだ。お前達がどうやって出会い、付き合いだしたかなどの新たな設定だ。」

「そ・・・それだけ?」

「よかった・・・。」

竜兎と璃麻はあからさまに、嬉しそうな顔をし始めた。

「あ、忘れてたが、それだけじゃない。」

「え?」

「教授っ!あと何があるんですかっ??」

竜兎と璃麻は、また、深刻そうな顔をした。

「未来に帰ったら、俺の手伝い。」

「はぁ?」

「来年の奴ら用のメモリーカード、お前達に作ってもらうからな。覚悟しとけよ?

以上っ!」

「良かったぁ・・・。竜兎、帰らなくていいって!」

「ホントに・・・よかったな。」

竜兎と璃麻は、お互いを見つめて微笑んだ。

「ホラ、これ、追加の設定だ。しっかりと覚えておけ。」

森本はそう言い、追加の設定の書いてある用紙を机の上に置くと、職員室に戻って行った。



「ねぇ、竜兎、どうしてココがわかったの?」

「璃麻が放送で呼ばれたのを聞いて、俺も行ったら、ちょうど、二人が生徒指導室に入っていくのが見えたんだ。」

「そっか。」

璃麻は嬉しくてエヘへといいながら、竜兎の首に手を回した。

「竜兎、あたし、幸せよ。」

璃麻は、竜兎の唇に自分の唇を押し当てた。





  


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