なんで人は生きているんだろう。

どうして私は生まれてきたんだろう。

私は誰かに必要とされてる?

ずっと、ずっと、一人ぼっち?

この寂しさや切なさが永遠に続くのならば、

私はもう、生きていたくない。






a ray of sunlight





「水死体は醜いって聞くけど。」

橋の上で、冷たい鉄の柵に足をかけ、じーっと流れていく川を真剣に見つめていたら、

突然、横から冷静な声が。

数メートル先に、車も歩行者も悠々と通れる新しい橋が出来たことで、

廃れて人通りが少なくなったこの古く錆び付いた橋に、

独りふらふらしているのは私だけだと思っていたのに、

声が聞こえて、ハッとした。

声の方を向いて人物を見ると、綺麗な顔立ちの男の子がそこに居た。

誰?

こんな人、会ったことなんて一度もない。

歳は私よりも少し上くらい?

私が何も言わず、じっとその人の顔を見ていると、

その人は痺れを切らしてか、次の言葉を口にした。

「・・・死にたいの?」

私は肯定も否定もしなかった。

初対面の人物に、言う必要もないと思ったし。

「・・・どうでもいいけど、今日は死ぬのやめてくんない?

俺の誕生日だっていうのに、死ぬ人見るの嫌だし。」

・・・なんていう男だ。

自分の誕生日だから死ぬな、なんて。

私がどうしようと、この人には全く関係が無いのに。

そんなに自分の誕生日が大切なら、早く帰ればいい。

私は誕生日なんて、どうでもいいって思う。

1年に1度訪れる自分の生まれた日なんて、おめでとうでもなんでもない。

私にとって誕生日なんて、ごく普通の一日と何ら変わりのないただの日。

祝ってくれる人もいないのだから。

「今の季節って死体とかヤバイ臭いしそうだし、

冬になるまであと半年ぐらいは思い止まったら?」

確かに今は夏一歩手前で、食べ物は直ぐに悪くなってしまうけれど、

死体にも同じことが言えるんだろうか。

死体にいい時期、悪い時期なんてない気がするけど。

・・・って、そんなの私にとってはどうでもいい話。

でも、私はこの呆れる発言によって、なんだかタイミングを逃してしまい、

鉄の柵の向こうに行くこともなく、ゆっくりと足を地面に下ろし、家に向かって歩き始めた。

歩いていて、なんとなく後を付けられているような感じがして振り向くと、

その人はやっぱり私の後をついてきていた。

目が合うと、不機嫌そうに「・・・方向が同じなんだよ。」と呟いた。

好きでついてきているわけではない、勘違いするなと、言いたいのか。

彼はチッと軽く舌打ちをして、早めの歩調で歩き始め、私を追い越し、ついには見えなくなった。

変な人。

私はぼんやりとそんなことを考えていた。




  


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