さくらちゃんと本城が両思いだと分かったその日の帰宅途中、もうすぐ家に着くというところで家の前にさくらちゃん・・・と本城が居るのが見えた。


ちっ。さくらちゃん一人じゃないのかよ。

・・・あーあ、さくらちゃんてば、ニコニコしちゃって・・・幸せそう。

ま、別にいいけど。


あー、さくらちゃんが、背伸びをして、本城の頬にキスしている。

「へぇ・・・さくらちゃん、やるじゃん。」

俺がそう言うと同時に、二人が勢いよく、こっちを向く。

二人とも顔が真っ赤だ。

そんなに照れるか?たかが頬にキスしたくらいで・・・。

呆れる。


「葉!」

なんだよ、さくらちゃん。そんな顔すんなよ・・・。

見られたくなかったのか?だったらこんなトコでキスすんな。

此処でキスすんなら、見られる覚悟でやれ。


「本城ってヤツと傘のヤツ、同一人物だったんだろ?」

俺がそう言うと、さくらちゃんはビックリした様子で目を見開く。


「なんで知ってるの?」

「津本から聞いた。どうも初めまして、本城サン。」

一応、ニコっと笑って、ペコりと頭を下げる。

すると本城も慌てて頭を下げる。

「ど・・・どうも。」


本城の第一印象、弱そうなヤツ。

こんなヤツがさくらちゃんの最初の男になんのかよ。信じらんねぇ。

なんか、かるーくムカつく。


「あ、さくらちゃん、借りた傘、返したの?」

「あ!返してないッ!本城君、ちょっと待っててっ!すぐ持ってくるから!」

さくらちゃんが慌てて玄関を開け、走って家の中に入って行った。


さてと、さくらちゃんが居なくなったことだし・・・。ちょっとコイツと話してみるかな。

「さくらちゃんと付き合い始めたんだ?」

「あ・・・うん。」

照れてる。

じーっと見つめて全身を見渡す。

ふーん。まぁ、見た目はいい方なんじゃねーの?

問題は中身・・・。


「なぁ、本城サン、さくらちゃんのこと、本気で好き?」

「えっ・・・あっ・・・うん。」

「本気なら、大切にして欲しいね。」


もちろん、というようにコクンと頷き、真剣な眼差しでコッチをみてくる。

でもさ、そんな真剣な顔されても、イマイチ信用できないんだよね・・・。

アンタ、結構手が早いみたいだし。


「この前、さくらちゃんにキスしたでしょ。しかも、何も言わずにいきなり。

そういうの、あんまりいいとは思えないんですけど。」

「・・・。」


本城の顔が青ざめていく。

顔が赤くなったり青くなったり忙しいやつ。

でも、思ってることがすぐに顔に出るっていうのはいいかもしれないな。分かりやすいし。

こいつ、嘘がつけないタイプだ。・・・・・・俺と違って。


「この前のキスさ、さくらちゃんにとってファーストキスだったんだよね。

知らないとは思うけど、さくらちゃん、ファーストキスは素敵な場所で・・・とか夢見てた。

あんなカタチでファーストキス奪われるとはね・・・。

過ぎちゃったことだし、今更言ったって遅いだろうけど。」


バタバタと足音がして、さくらちゃんが近づいてきていることが分かった。

タイムオーバー・・・だな。


「んじゃー、さくらちゃんをよろしくオネガイシマス。」

少し不本意だけど一応頭を下げておく。そして、顔を上げてから言葉を付け足す。

「あー、言い忘れてた。さくらちゃんを泣かせたりしたら有無を言わさず殴るからそのつもりで。

じゃ、またね。本城サン?」

ニッコリ微笑んで、本城の肩をポンと叩き、歩き始めたところでさくらちゃんが家から出てきた。

グットタイミング。

思わず、ニヤける。

家の中に入り、自分の部屋で早々と着替えを済ませて、リビングに向かった。

今日、見たいテレビがあったんだっけ。

マグカップに冷蔵庫から出した冷たい牛乳を入れて、それを持ってソファへ移動。

テレビをつけて、まったりとくつろぎモードに入ろうとしたときに、さくらちゃんがすごい速さでリビングに入ってきて俺に掴みかかった。

「なに言ったの?」

突然何を言いだすんだよ。

「なにが?」

そんなことよりテレビ、テレビと思っていたら、さくらちゃんがいきなり俺の顎を掴んで、無理やりさくらちゃんの方を向かせる。

ムカ。

「なんだよ!」

「さっき、本城君に何か言ったでしょ。何言ったの?」

「別に。何にも言ってないよ。テレビみたいんだけど。」

ぐいっとさくらちゃんを横に押しやる。

やけにあっさり大人しくなったな、と思ってふと隣にいるオネエサマを見ると、ぷぅ・・・と頬を膨らませて、かなり怒っている様子。

はぁ・・・。さくらちゃんを怒らせておくと、後々めんどくさいからなぁ・・・。機嫌、取っておくか。

「知りたいの?」

「うん!」

聞かせて、聞かせて、とばかりに迫ってくる。

「しょうがないな・・・。

妹、可愛いですね、って言った。」

嘘だけど。ホントのことなんて言うわけないじゃん。

説明すんのダりぃし。

「・・・ホント?ホントにそれだけ?」

ニッコリ笑って、一応うんと言っておく。

「津本菜々って笑顔が可愛い。」

「もしかして、葉、菜々ちゃんを狙ってるの?」

「さてね。」

狙うなんて言い方やめて欲しい。

津本・・・津本・・・ねぇ・・・。

可愛いけど・・・付き合いたい・・・とは思わないな。







  



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