耐えろ私!!

こんなのにイチイチ反応してたら、この先やっていけなくなる!!

私は泣きたい気持ちと、腹立たしい気持ちが

混ざって、今、嫌な女の子になってる。

そんな嫌な子になりたくなんかないのに!!




イヤナキモチ




その日。4時間目の数学が終わりに差し掛かる頃。

出席番号で当てられて、昼休みにクラスの数学の提出プリントを集めて数学研究室に運ぶという役を任されてしまった。

いつもはゆっくりのランチタイムなのに、今日は一人早めに食事を終わらせ、プリントを持って直ぐに数学研究室へ向かった。

数学研究室は蕗の教室と同じ校舎の、しかも同じ階にあったから、プリントを運んだ後に、

私はお弁当を食べてる蕗の姿をちょっとだけ覗いて行こうかなぁ、なんて思って、

わざわざ遠回りして、蕗のクラスの横を通ろうとしたら、前のドアから蕗が女の子とじゃれあってるのが見えた。

私は慌てて回れ右して、今まで歩いていた廊下を逆戻りした。

歩きながらさっきみた光景を思い出す。

どんな経緯があったかは分からないけど、蕗がにやけた顔で、女の子の手首を掴んでいた。

その女の子はよく見たことがある。『マイ』っていう、蕗の友達だ。

蕗とは入学した時からの友達で、2年間ずっと同じクラス。

私が蕗と絶交状態だった頃、サワタリエイシと3人で居るところを度々見ていた。

彼女じゃないかと疑ったこともあった。

だから、付き合い始めてから少し経った時、思い切って「マイって人と付き合ったことある?」って訊ねてみたら、

蕗はそんなこと聞かれるなんて思って居なかったらしく、一瞬驚いた後、

「ない」ってキッパリ言って「今後も付き合う予定は絶対無い」とも言ってくれて、「そんな顔すんな。」なんて、

私の不安を打ち消すように抱きしめてくれたことがあった。

その時は、心の中のモヤモヤが消えたけれど、

やっぱり実際に二人のやりとりを見ると、不安になってしまう。

ホントはこんな気持ちになんてなりたくないのに。

私はいつの間にか駆け出していた。

嫌な思いを振り切るかのように。

走って、走って、走って・・・

いつの間にか普段あまり来ない校舎の渡り廊下まで来てしまった。

なんとなくフラフラとその横にあった水道に足を運び、

蛇口を捻り、勢い良く水を出し、バシャバシャと顔を洗った。

ここは昼休みはあんまり使われないみたいで、人が全然居なくて、今の私の気分には丁度良かった。

水を止め、濡れた顔をハンカチで拭いた後、渡り廊下の外側の壁に寄りかかって座り、膝を抱えて俯いた。

何やってんだろう、私。

最悪。

蕗が、女の子と仲がいいなんて、今に始まったことじゃない。

蕗は誰にでも優しいし、人見知りしないし、私と違って男女問わず友達が多いんだから。

女の子と仲良くしている姿を見てイチイチ反応してたら、この先蕗とずっと一緒になんていられないよ。

はぁ・・・。

「明菜・・・?」

突然、後ろから尋ねられるように名前を呼ばれて、とっさに顔を上げて振り返ると其処には藍莉の姿があった。

「どうしたの、こんなところで。プリント運びに行ったんじゃなかった?」

「・・・うん。それはもう終わったんだけ・・・ど。」

「・・・ど?何かあった?」

何か・・・あったっていうのかな、これは。

・・・違うよね、何も無いよ。

「無いよ。なんでもない。」

精一杯笑顔を作ってみるけど、藍莉に「無理してる。」とバッサリ言われて、

笑えなくなった。

「蕗君関係で悩んでるの?ケンカした?」

「ち・・・違うよ!蕗は関係ないよッ!」

「そう。・・・じゃあ一緒に教室戻ろう。」

手を差し出されて引っ張られて、私は立ち上がった。

「・・・藍莉は何してたの?」

私は藍莉に訊ねた。

なんでこんなところにいたのかを。

すると藍莉は左手に持っていたパックのジュースを私に見せた。

100%のオレンジジュース。果肉がたっぷり入っているっていう商品。

「コレ、買いに行ってたの。」

「なんであそこまで?」

「昨日貰ったの。ウマイから飲めーって。そしたら本当に美味しくてもう一回飲みたくなったの。

でも、誰かさんが“コレ俺のマイブーム!”なんて言い触らしている所為か、奴が買い占めてるのか、

どこも売り切れで、ジュースを求めてあんなところまで行っちゃった。」

はぁ、とため息混じりに言った。

多分、藍莉にジュースを渡した相手も、マイブーム、って言い触らしているという“誰か”も、同一人物で、

それは藍莉の彼氏であるサワタリエイシに違いない。

サワタリエイシがマイブームなんていうなら、奴に憧れている女の子は同じものを求めて手にするなんて目に見えてる。

サワタリエイシは凄くモテていて、すごい高確率で一度は好きになったことがあるっていう子がいるし。

ふと、私は藍莉を見て思った。

藍莉でも、嫉妬とかするのかと。

「あ・・・藍莉は・・・し・・嫉妬とか・・・よくする?」

「は?」

「あ・・・あのさ、サワタリエイシが、誰かと笑ってたりしたら、腹が立つ?」

「別に。アイツ、よく笑ってるし。」

「・・・違くて。」

ガクッと肩を落とし、なんていったらいいかなぁーなんて悩みながら、言葉を考えて、そしてまた。

「女の子と話をしてて、笑ってたら・・・だよ。嫌だよね。」

「・・・アイツ交友範囲広いし、別に。」

「やっぱり藍莉はすごいね・・・心が広いね。」

私はしみじみそう思って、感心していたけれど、藍莉はケロっとしていて、

「別にそういうわけじゃないよ。・・・ねぇ、もしかしてそれで悩んでた?」

「え?」

「・・・蕗君が、女の子と話して、笑ってて、嫌な気分になっちゃった?」

「そ!そんなことないよ!」

そうは言ってみたものの、声が裏返った時点でアウト。

藍莉にバレてしまった。

「・・・嫉妬って、人によっては嬉しく思うらしいよ。“愛されてる”って感じるって。

私はあんまりいい感情とは思えないけど。」

「うん。私もそう思う・・・。

こんな気持ちになりたくないよ。藍莉はどうして嫉妬しないで居られるの?」

「え、私も全く嫉妬しないってわけじゃないと思うけど。多分、そういう機会にあんまり遭遇しないだけで・・・。」

・・・そういう機会に遭遇しないだけって・・・充分遭遇してると思うけど。

今日だって、蕗と登校して来たら、ちょうど階段のところで藍莉じゃない女の子と並んで歩いていて、

しかも笑っていた姿を見た。蕗が声を掛けたら、女の子と軽く挨拶をして別れたみたいだったけど。

「今朝・・・サワタリエイシ、女の子と歩いていてニヤニヤしてたよ。それでも気にならないの?」

私、今、嫌なこと言った。言ってから自己嫌悪に陥ってたけど、藍莉は気にしてないみたいで。

「気にならないよ。気になった時は聞けばいいし。・・・・・・・・・じゃあ今、聞いてみる?」

藍莉は別に気にしてるわけでもなかったのに、私の為に手本を見せてくれるみたいにそう言って、

ポケットから携帯を取り出し、少し操作してから耳に当てた。

唇に人差し指を当てて、私に黙っていてと合図をして、数コール後、

携帯から心配そうなサワタリエイシの声が零れた。

『どうした?』

「別にどうもしないんだけど・・・。今、ちょっといい?」

『全然平気。急に電話なんてするから何かあったかと思った。あ、弁当すっげぇウマかったよ。ありがと。』

「うん。あ、それは別にいいとして。・・・えーっと、なんだっけ。あ、そうだ。」

藍莉は身体を少し傾けて、私に聞こえるようにと携帯を私の耳に近づけた。

周りが静かだからさっきの状態でもサワタリエイシの声は聞こえてきてたけど、更に聞こえやすくなった。

そして。

「今朝、女の子と歩いてニヤニヤしてたって?なんで?」

一瞬間があって、どうしたかと思ったら、

次に聞こえてきたのはサワタリエイシの浮かれた声。

『な・・・なになに?嫉妬?それって嫉妬?』

藍莉は呆れて大きなため息を一つ。そして。

「違う。早く、聞いたことに答えてよ。」

『ヤベ、俺、感動しそう。』

「・・ねぇ、聞いてる?」

『聞いてるよ。今朝だろ、今朝・・・女と歩いてたっけ?あぁ、分かった。

弁当についてたメモを読みながら歩いてたらぶつかってさ、

その子に謝りつつ、ちょっと惚気話もして歩いたような気がする。』

藍莉は数秒黙って、「バカじゃない?」そう言って、プチっと電源を切った。

「・・・ごめん、あんまり参考にはならなかったね。

でもさ、大体こんなものなんだよ。“何かある”なんて、滅多にないよ。

気にする方が疲れちゃう。」

それって、藍莉の場合だけなんじゃないかと思うんだけど。

サワタリエイシが藍莉のことスゴク好きだっていうことは知ってるし、

遊び人と言われていたあのサワタリエイシだけど、今では藍莉一筋で、他の女の子と“何かある”はずがないんだ。

魅力的な藍莉だからこそ、他の女の子に目を向ける暇はないんだと思う。

でも私は・・・

蕗を繋ぎとめておける程の魅力はハッキリ言って無い。

ガクリと肩を落としていると、藍莉の携帯から振動する音が聞こえた。

でも藍莉は中々取ろうとしない。

「携帯、取らなくていいの?」

「・・・多分影志だし。」

分かってるなら取った方がいいような気がする。

「・・・取った方がいいんじゃない?」

藍莉は何故か分からないけれど、少し考えた後で、携帯を取った。

『なんで切るんだよ!』

携帯からサワタリエイシの怒った声が漏れる。

でも藍莉は謝るわけでもなく、淡々と「・・・間違えた。」と答えた。

『ぜってぇ嘘だろ!』

「ウルサイなぁ。」

『なぁ、今ドコ?教室じゃねぇ・・・よな。』

「うん。影志は?」

『廊下。』

「・・・じゃあ、蕗君側に居ないんだ。今、何してる?」

なんでそこで蕗のことを聞くの?!

『蕗ィ?なんで蕗が出てくンだよ。』

やっぱりサワタリエイシも私と同じコトを思ったらしい。

でも藍莉は別に戸惑うわけでもなく、淡々と「聞きたかったから。」と返した。

少しの間の後、サワタリエイシが言った。

『・・・なんとなーく読めた。近くに明菜が居るんだろ?』

なんでわかったの!?

私が驚いて口をパクパクさせていると、藍莉は唇に人差し指を当てて、

私にまた、黙っていてと合図をする。

「いないよ。明菜なら泣きそうになって、南校舎の渡り廊下の方に行ったけど。」

藍莉ッ!!そう言おうとしたけど、藍莉に口を塞がれて何も言えなくなった。

『・・・・・・分かった。』

サワタリエイシはそう言って、電話を切った。

私はやっと口を藍莉の手から開放されて、喋る事を許される。

「な・・・なんで泣きそうになってるとかゆうの!?」

「そんな感じだったけど?」

「泣きそうになってないよ!」

私はそう言ってるのに、藍莉は何故か優しそうな顔をして、ポンポンと私の頭を叩いた。

・・・なんだか子ども扱いされてるような気がするんだけど。

「明菜はホント可愛いねー。」

「か・・・可愛い!?」

藍莉の口から私に向けて“可愛い”なんて!!有り得ない!!

「藍莉・・・それ、間違っていると思う。」

真剣に私は言ってるのに、藍莉は相変わらず微笑みながら「間違ってないよ。」と。

私は藍莉がおかしくなったのかと本気で心配になった。

その時。

「来た。」

藍莉が呟くようにそう言って、私から離れ、「先に戻ってるね。」と言った。

私は「え?」と言う間もなく、走ってきた蕗につかまれた。

「アキ!どうした?何があった?何された?」

はぁ、はぁ、と乱れた息を整えつつ、蕗はそう言ってきて、必死に走ってきたということが伝わってきた。

「な・・・何も無いよ。」

なんで蕗が此処に来たんだろう。

「じゃあ何でこんなとこで泣いてるんだよ。」

「泣いてなんて・・・・・・あ!!」

瞬時に先ほどの藍莉とサワタリエイシの会話を思い出す。

サワタリエイシが蕗に何か言ったんだ!

「藍莉が嘘言ったんだよ。泣きそうになってたとか。違うのに・・・。」

「・・・でも、藍莉チャンが理由も無く嘘を吐くとは思えないけど。」

「本当に違うんだって。落ち込んでいたのを見られて・・・。」

「落ち込んでた?」

ヤバイ。余計なことを言っちゃった!

「それも違くて!」

慌てて言ってみたけど、今更遅くて。

なんで落ち込んでたのかと、追求された。

でも、嫉妬して落ち込んでたなんて、素直に言えるはずも無く、

私は上手い言い訳の言葉を捜してみた。でもうまく見つからなくて。

「自己嫌悪だから。ホント、いつものことなんだよ。なんで自分はダメなんだろうって思ってたの。

私も藍莉みたいになりたいなって、思って・・・。」

そう言い終わる前に、私は蕗に抱きしめられていた。

一瞬にして、蕗の香りに、体温に、包まれていると感じた。

蕗の心臓の近くに耳を当てていたからか、蕗の心臓の鼓動が伝わってくる。

少し心音が早いかも。さっき走ってきたからかな。

私が“泣いてる”なんて聞いて、心配して急いできてくれるなんて・・・。

「アキ。・・・“誰か”になんて、なろうとしなくていい。アキはダメじゃないよ。

俺、アキのいいところ、いっぱい知ってる。

アキはアキのままでいいんだよ。」

私は蕗がくれたその言葉が嬉しくて、そっと蕗の背中に手を回した。

どうしよう。

蕗が好きでしょうがない。好きになりすぎて怖いくらい。

どうしよう。

今・・・すっごく・・・蕗と・・・キスしたい。

私は一度だけ、ぎゅっと蕗に強く抱きついてから、手と身体を放し、

その手を蕗の首に回し、蕗を引き寄せて、自分から蕗の唇に自分の唇を押し当てた。

唇を離し、手を放して、ふと我に返る。

・・・今・・・なに・・・した?

思わず口に手を当てる。

そして後ずさりしてしまった。

別に悪いことしているわけじゃない。

蕗とは付き合ってるんだし、初めてのキスってわけじゃない。

だけど。

・・・初めて自分から行動を起こして、物凄く恥ずかしくなってしまった。

蕗は何も言わないし、私は何か言わなくちゃと思って、でも言葉が見つからなくて、

その場を逃げ出そうと「きょ・・・教室戻るね。」

なんて言って、走り出そうとして直ぐに、蕗に腕を掴まれ、蕗の腕の中に再び引き戻された。

少しの間の後、蕗が呟くように言う。

「・・・・・・なん・・・だよ。アキは・・・俺をどうさせたいの?・・・もうヤバイんだけど。」

ぎゅーって強く抱きしめられる。

暫らくして、一息吐いてから蕗は私の身体から離れた。

「アキ・・・ホントは何があったの?言ってみて。」

真剣に私の目を見て、そう言う蕗に私は素直に言葉を口にした。

「嫌いに・・・ならないでね。嫌に思わないでね。」

ぎゅっと蕗の制服のシャツを掴む。

「ならない。」

私はその言葉を確認してから、言葉を続ける。

「・・・あのね。ツマラナイ嫉妬して、落ち込んでたの。」

「つまらない・・・嫉妬?」

「・・・さっき。蕗の教室行ったの。ちょっとだけ蕗の顔見ようかなぁって思って。

そしたら・・・なんか・・・女の子と仲良さそうにしてるの見ちゃって・・・。」

「仲良くなんてしてないけど。」

「でもじゃれてた・・・。」

「ん?あぁ。じゃれてたっていうか、奪い合い?写メ見られそうになって、抵抗してて。

まぁ、結局奪われて見られたんだけど・・・。」

「なんの写メ?」

「え?何のって・・・別に・・・。」

さっきまで目を合わせてたのに、蕗は一瞬にして視線を泳がす。

「見られちゃ嫌なものだったんでしょ?何だったの?」

「・・えーっと・・・うーん・・・。」

「言えないんだ・・・。」

ショック・・・。

他の人は見てるのに、私には教えてさえくれないなんて。

俯いていたら、上から蕗のハァ・・・というため息を一つ吐いた音が聞こえ、

その後、蕗は言った。「アキの。」と。

その声で私は思わず顔を上げ、蕗を見る。

蕗は気まずそうな顔をして、やっぱり私と視線を合わそうとしない。

「嘘だ・・・。」

「嘘じゃないよ。」

私は蕗の携帯で写真を撮られた記憶は全く無い。

だからそんなこと言われても信じられるわけがないんだ。

「だって、写メなんて撮ったことないもん。いつ撮った?」

「・・・アキが寝てるとき。」

ま・・・また人が寝てるときに勝手に!!

信じられない!!

しかもそれを・・・人に見せるなんて!!

「なんで撮るの?!なんで見せるの!?」

「だからー、見せるつもりはなかったんだって。

写真をフォルダ分けしてたら、横から見られて・・・。」

全然悪びれも無くそう言う蕗に、怒りが沸々と湧いてくる。

「撮ったのってどれ?見せて!」

蕗は、えー、と言いつつポケットから携帯を取り出して操作する。

そして、上から「これ。」と言って、画面いっぱいの私の寝顔の写真を見せた。

ぎゃー!!なにこれ、なにこれ!!

私は慌てて奪おうとしたけど、私よりも背の高い蕗が手を伸ばしてしまったら、

携帯が届くはずも無くて。

蕗は高い位置で「ヤバイでしょ。これ!この、薄く唇が開いて、手を軽く握ってるのが最高にイイ!!」

そんな風に言って、画面に軽く唇を当てた。

「・・・な・・・何してんの!!消して!!今すぐ消して!!」

私は精一杯ジャンプして携帯に手を伸ばすけど、全然ダメ。

蕗は平然とした顔で、「ヤダよ。俺の宝物だもん。消さないー。」なんて言う。

「そんなの見ないでよ!!」

私が必死になってそう言うと、蕗は満面の笑みで、

「写メに嫉妬しなくたって大丈夫。実物の方がイイって、分かってるから。」

「そういう問題じゃな・・・・・・ンっ!!」」

私はいつの間にか蕗に器用に手と口を封じられてた。

その時、ちょうど予鈴がなった。

蕗はゆっくりと唇を放し、耳元で、

「時間切れ。予鈴なったから戻らなきゃ。続きは帰った後でね。」

そう言って、私から離れた。

呆気に取られている私を残し、蕗はニコッと微笑んだ後、軽く手を振って教室に戻ってしまった。

ふ・・・蕗のバカっ!!

熱くなってしまった顔を冷やそうと、また顔を洗おうとしたけど、

時計を見たらそんなことをしている余裕なんか無いことに気付き、慌てて走り出す。

…不思議と、もう嫌な気持ちは消えていた。

授業が始まるギリギリの所で教室に入り、自分の席に着いて乱れた呼吸を整える。

・・・その時、ポケットに入れていた携帯が震えた。

先生が遅れているようだったので、そっと携帯を取り出してチェックをすると、蕗からメールが来ていた。

メールを開くと、そこには一言文字が。










『もっとアキが好きになった。』










END





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