すき。

きらい。

すき。

きらい。

すき。

きらい。

・・・まただ、また嫌いになっちゃった。。。



花占い



ふぅ、とため息を吐いて空を見上げる。

青い空、白い雲。

足元には見事に散らばった大量のマーガレットの白い花びら。

そして・・・緑の茎。

もう何度、花びらを摘んでは捨て、摘んでは捨てるという行為を繰り返したのだろう。

花びらを交互にちぎっていき最後の一枚が結果となる、花占い。

私の場合、花びらを「すき、きらい」と交互にちぎっていき、好きな相手が自分のことをどう思っているかを占っていた。

相手が自分のことを好きであって欲しいと願って、何度も試したというのに何度やっても嫌いという結果になってしまった。

その結果を信じたくなくて、近くに咲いていたマーガレットに、また手を伸ばし、摘む。

よし、もう一度。

花びらを取ろうとして、マーガレットに手を掛けたそのとき、後ろからそのマーガレットをすっと、誰かに奪われた。

むぅ、と頬を軽く膨らまして、勢い良く後ろを振り向くと、呆れたような顔をした友人の敬太がそこに立っていた。

敬太は、タオルを首にかけて、汗を拭きながら、マーガレットを見つめてる。

ユニフォーム姿だから、部活の途中っぽい。

「・・・部活は?」

「今、休憩中。」

「どうしたの?」

なんでここに来たの?っていうこと。

「オマエの姿、見えたから。それよりさ、なにこれ。」

敬太は、マーガレットを軽く振る。

「マーガレット。」

「じゃなくて・・・。なんだ、この花びらたちは?」

「・・・は・・花占いしてたの。」

それを聞き、敬太は、はぁ?って顔をする。

「花占い・・・って言ったって、この量はハンパじゃねぇな。」

そう言われて、返す言葉も無い。

「あ〜あ、花が可哀想。」

敬太はそう言いながら花びらたちを眺め、それから私の方をちらりと見て、ため息を一つ吐いた。

言われなくてもわかってるよ、花が可哀想ってことくらい。

でも・・・。

「・・・で・・でも何回やっても同じ結果になっちゃうんだもん。」

小さくそう呟き、落ち込んでいたら、敬太が隣に座って、私の顔を覗き込んできた。

「・・・嫌な結果が出たのか?」

「うん。」

そうなんだよ、嫌な結果ばっかり出たの。

占い結果のことを思い出し、さらに私の心は沈んだ。

「何を占ってたんだよ?」

「・・・それは言えないけど。」

言えるわけない。

敬太が私のこと好きか嫌いか占ってた・・・なんて。

あたしはずっと前から敬太が好きになってた。

敬太は、すごく素敵な人なんだ。

いいところを沢山持ってる人。

困ってたらさりげなく助けてくれるし、一緒に居ると楽しいし・・・。

なにより、私を笑顔にしてくれるのがウマイ。

敬太の側に居るの、すごく居心地が良かったりする。

このままずっと側に居たいな、そう思っていた矢先、今日、敬太のことを好きだっていう女の子の存在を知った。

勘違い、してた。

敬太は私の彼氏じゃない。友達なんだ。

いつか誰かのものになっちゃう、そう思ったら嫌で嫌でたまらなくなった。

敬太が誰かと付き合うのを側で見るなんてヤダ。

敬太は私のことどう思ってるんだろうって気になって、さっき、花占いをしてた。

結果は最悪だったけど。



敬太は、足元に散らばっていた花びらの中から茎を拾い上げた。

そして、あたしの前にそれを突き出した。

「?」

「あのな、花占いってのは、花の中心も取って、終わりなんだぞ。

見てみろ、ココの黄色いトコ。オマエが今までやってたやつには全部真ん中のトコも付いてる。」

敬太はそう言いながら、茎と額の部分をぶちっと千切った。

「え?そうなの?じゃあ嫌いって結果はウソなの?なーんだ、全部好きって結果だったんだ。

・・・ん?」

ちょ・・ちょっと待って。・・・ってことは、敬太は私のこと好き?

ホント?

両想い??

恐る恐る敬太の顔を見ると、敬太は目を見開いて間抜けな表情をしてた。

・・・違う。絶対に違うな。この顔は絶対私のこと好きだなんて思ってない。

はぁ・・・。

所詮占いなんて、こんなもんなのよね。

もうやめた。占いはオワリ。

帰ろ。

あれ?敬太ったらどうしちゃったの?なんか固まってない?

私、なんか変な事言った?

・・・言ってないよね?

私が戸惑っていると、敬太は怪訝そうな顔をして、こっちを見つめてきた。

「誰か好きな奴いるのか?」

「!!」

やだ。あんまり見つめないでよ。照れちゃうから!!

あたしの顔、赤くないかな?

顔を見られたくなくて、思わず俯いてしまった。

「えっと、好きな奴・・・ね。えーと、ね・・・。」

「なに照れてんだよ。パッと言え。」

コイツ!人の気も知らないで・・・。

「あー、いますよ、いますとも。」

開きなおって、ふてぶてしい態度でそんなことを言ったら、敬太がものすごくビックリした顔をした。

そんなに驚くことでもないと思うんだけど。

・・・私に好きな人いるって、意外なの?

「そいつ、誰?」

「は?」

「好きな奴だよ。誰?」

あなたです。あなた。

でも、敬太は私のこと、好きじゃないみたいだし、言えないよ。

好きって言ったら、友達関係が崩れちゃうんじゃないかって思って不安になってきた。

「好きな人・・・なんて、い・・・言えるわけないじゃない!」

「言え。」

「言わない!」

「言え。」

「絶対言わない。」

「なんでだよ。」

「言いたくないんだもん!」

「頑固。」

「ウルサイ。ホラ、早く部活に戻りなよ。顧問の先生、怒るよー?」

「オマエの好きなヤツが気になってそれどころじゃねえよ。」

「なんでよ。そのネタでからかいたいワケ?

残念だけど、敬太には言わないよーダ。」

イーってして、そっぽを向いてみる。

「はっ!?」

納得いかない、という声が聞こえる。

でも、私は聞こえないフリをして立ち上がった。

「もういいでしょ。私、帰るね。ばいばい。」

私がそう言って、自分の鞄を拾い上げた時、敬太が私の腕を掴んだ。

「俺、オマエのこと好きだからさ、気になんだよ。」

!! え??

「・・・い・・今なんて・・・?」

「だから好きだって・・・。」

「・・・うそだぁ−?」

「うそじゃねぇって。前からずっと好きだった。」

「・・・な、なんで今ゆーの?」

「言いたくなったから。」

「だからって・・急すぎ。」

「なんか今、言っといた方がいい気がして。

で、オマエの好きな奴って誰?教えろ。」

「わ・・わたしの・・・す・・好きな人は・・・

敬太なんだよぉー!!」

私の告白の後、敬太は一瞬目を丸くし、そしてその後・・・

ヤレヤレ、とでも言いたげなしぐさをして一言。

「・・・ウソだな。」

な・・・なにこの反応は!?

「ちょっと待って。ウソじゃないって。前からずっと好きだったんだから!」

そう言った後、敬太がまじまじと私を見つめ、それから額をぺしっと叩かれた。

「イッターい!!何すんのぉ?」

「マジかよ!」

「ホントだよ!」

「な・・・なんで今頃言うんだよ!!」

「・・・そんなこと言ったって敬太だって言わなかったじゃん!!」

「バーカ!オマエが全然恋愛に興味ないっぽかったから、言いたくても、言えなかったんだよ。」

「え?そう??」

私、そう見えてたんだー。

「ま、もう、どうでもいいけどな。」

敬太はそう言った後、本当に嬉しそうに笑った。

嬉しいのは、私の方だよ。

あ、そういえば・・・

「花占い・・・当たっちゃった。

あたしね、さっき、敬太があたしのこと好きか占ってたの。」

「あ、あれ、適当に言っただけなんだけど・・・。」

「ン?」

「ま、いいか。」

敬太はスッと立ち上がり、私の頭をくしゃっと撫でた。

「俺が部活終わるまで、待ってろよ。一緒に帰ろうぜ。」

「うん。」

「じゃ、また後でな。」

部活へ戻っていく敬太に手を振った。


花占い、当たっちゃったよ。えへへ。

でも、問題はこれからだよね・・・。

これから私達はウマクいく?

敬太の部活が終わるまでヒマだし・・・

また、花占い・・・しちゃお。




END




最初に言っておきますが・・・
花をむやみに摘んじゃだめー!

あと、
「花占いは花の中心も取って、終わりなんだぞ。」っていう敬太のセリフは嘘です!!
あたしはいつも花占いは勝手な解釈をして、自分の都合のイイ様に終わりたかったから
こんなこと考えてやってたんだ。
敬太が嘘ついたのは、優しさから。励ましたくて、そんな言葉を言ったんだと思ってください。


マーガレットの花言葉は「
恋占い
花占いできそうな花ってことで適当に選んだけど、こんな意味があったなんて、あたしも知らなくてビックリしました。
皆さんも一本くらいなら、生えてるマーガレット摘んで「花占い」を楽しんでみては?
だ・・・だめかなぁ?
ドキドキ。





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