glasses














「あたしね、亮は絶対眼鏡取ったほうがいいと思う。」











亮太の家で、二人でテスト勉強をしていたときだった。

亮太が参考書を読んでいると、前から視線を感じた。

顔を上げると、響が勉強の手を止めて、じっと亮太の方をみていた。

「何?」

「あたしね、亮は眼鏡を取ったほうがいいと思う。」

(なんてことを急に言い出すんだろう?)

亮太は呆れて、また視線を本に戻した。

「そんなこと言ってる暇あったら、その数学の問題解きなよ。」

「つまんない・・・。飽きた。」

「飽きたじゃないよ・・・。」

「だって、分かんないんだもん。。つまんない。」

「どこ?教えるよ。」

「ぜーんぶっ!!全部分かんないっ!!」

(もう・・・。このお嬢さんは・・・。)

「ねぇ、亮、外、外へ遊びに行こっか?」

「駄目。テスト終わったら。」

「けちー!!」

「けちじゃないだろ。」

「もうやだよぉ・・・。そうだ。ピアノ、ピアノ弾こう。カノン弾いてあげるよ。」

「うん。テスト終わったら、沢山弾いてもらう。」

「今は?」

「今は、いい。・・とゆうか駄目。響が逃げたがってるのが分かるから。」

「・・・。」

何も言わなくなった響をちょっと心配して視線を響に向けると、泣きそうな顔をし始めていた。

亮太は驚いた。

「何で泣きそうになってんだよ?」

「だって・・・。亮、いぢわる・・・。」

「意地悪って・・・。」

「こんな人だって思わなかったー!!」

「何を今更・・・。」

(響と付き合って約3ヶ月。毎日のように顔をつき合わせているのだから、今更、こんな人じゃなかったといわれても・・・。)

「もう!!亮なんて本とずっと暮らしていけばいいんだぁー!!あたし帰るっ!」

「なんでそうなるんだよ?」

「知らないっ!」

響はそう言うと、何も持たずに部屋から飛び出していった。

「・・・どうして教科書、置いてくんだよ・・・。鞄ぐらいもってけ・・・。」

亮太はそう言いながら、響の荷物を持って後を追いかけた。





「響っ。き・・響っ!待てよ。荷物っ!」

亮太がそう呼びかけると、響は立ち止まった。

洋服の袖で目を擦りながら、亮太が来るのを待っている・・・。

「ホラ・・・荷物。」

亮太が響に追いつき、荷物を差し出しても、響は亮太に背を向けたままだった。

「うっ・・・。ありがと・・・。」

「もう泣くなよ・・・。擦ると目、赤くなる。」

「ひっく・・・。」

はぁ・・・。

亮太は、ため息を一つついて後ろから響を抱きしめた。

「泣くなって・・・。」

「今、めんどくさいなって思ったでしょ・・・。

もう嫌になった?

私、要らない?

私のピアノも聴きたいって言わなくなったし・・・。」

「それは、テスト前だからだろ?テスト終わったら沢山弾いてもらいたいって思ってる。」

「あたし、亮にとって何?

ピアノ弾く為にいるだけ?

亮はあたしのことが好きじゃないんだっ!

あたしのピアノだけが好きなんだっ!!」

響はそう言った後、自分の言ったセリフに自分で傷つき、また泣き始めた。

(亮が私じゃなくて私のピアノが好きだったのは分かっていた。

でも認めたくなかった・・・。

最初はそれでも良かったのに、欲がどんどん出てきてそれだけじゃ嫌になってしまっていた。

苦しい、嫌だ・・・。



亮、今すごく困った顔してるんだろうな・・。)

亮太はゆっくりと、そして優しくなだめるように言った。

「違うよ・・・。

響が好きだよ。

ピアノ弾く為にいるなんて・・・。それは違う。

響が好きだから、響の弾くピアノにも惹かれたんだ・・・。」

「うそだねっ。そんなの信じないモン。」

「じゃあ、どうしたら信じる?」

「信じられないっ!!」

「あのな・・・。」

響は急に亮太の腕を振り切って、今度は亮太の方を向いた。

そして、一瞬にして亮太の眼鏡を取った。

「な・・・何で眼鏡取るんだよ?」

亮太の目には響の姿がぼやけて見えた。

「これがいけないんだっ。これのせいであたしと亮の間には壁があるのっ!」

「・・・・・・何言ってるんだよ・・・。壁なんて無いだろ?・・・いいから・・・眼鏡渡して。響の顔ぼやける・・・。」

「亮のバカっ!」

(はぁ・・・。どうしてこうなるんだ?)

「響、眼鏡。」

亮太が強い口調でそう言うと、響は諦めたように眼鏡を返してきた。

眼鏡をかけ直すと、響の泣き顔がはっきりと見えた。

「響・・・。」

「バイバイっ!!」

響はそう言うと、亮太から逃げるように走って行った。



(もう・・・。どうしろっていうんだ?

・・・ったく・・・・・・しょうがないな・・。)





***





次の日、亮太は眼鏡をかけずに学校に行った。

もちろん、眼鏡をかけないと視界がぼやけて何も見えないので、コンタクトをはめた。

亮太は少し前からコンタクトを持っていたのだった。

最初にはめたとき、あまりに痛くて1日で止めてしまっていたのだが・・・。



実は今日も、コンタクトをはめてみたとき、ものすごく痛かった。

しかし、響の為ならしょうがない、と思い、亮太は我慢してコンタクトをはめ続けた。

(・・・・・・僕は響に本当に弱いな・・・。)





亮太が教室に入り、自分の席に座ると、やたらと視線が多く突き刺さってきた。

「・・・小村 亮太だよね?」

亮太の隣の席に座ってる斉藤 椿が恐る恐る声を掛けてきた。

「は?何それ?急に・・・。」

「だって・・・眼鏡・・・かけてないんだもん。」

「あー・・・。そっか、だからか、今日はやたらと視線が多いと思った。

自意識過剰だったら嫌だって思ってたんだ。」

「あはっ!何それ?」

椿は大声で笑い始めた。

亮太もなんだかつられて笑ってしまった。

そこに、亮太の友達である、須本 司が登校してきた。

「おはよ、亮太っ。何楽しそうに笑ってんだよ?・・・ってオマエ、コンタクトにしたわけ?」

「うん・・・。あーコンタクトってすっげー痛い。」

「何で急にコンタクト?前、痛すぎて一日で止めたって言ってなかったか?」

「・・・そう、一日で止めたんだけど・・・。」

「響ちゃんか?」

「そう・・・。響が・・・。」

亮太は昨日の一件を司に話した。

すると司は笑い出した。

・・・そして椿まで一緒になって笑い出した。

「何で笑うんだよっ?ってか椿も聞いてたのかよ?」

「聞こえてきたんだもん。」

「・・・それにしても・・何で二人、笑ってんの?」

「ワリィ・・・。あまりにも響ちゃんが可愛いからさ。」

「は?」

「響ちゃんはさ、亮太に構って欲しかったんだよ。」

「構って欲しい?」

「そう、オマエがあんまりほっとくから、拗ねちゃったんだな。可愛いじゃん。」

「ほっといたつもりはないけど。」

「オマエがそうでも、響ちゃんにとっては、ほっとかれたように思えたんだよ。」

「本当に可愛いわね、彼女。」

「捻くれてるけど・・・。」

「椿は響ちゃんの顔見た?」

「それがまだ見てないのよっ。亮太ったら教えてくれないんだもん。

ねぇ亮太っ!いつになったら響ちゃんと会わせてくれるの?」

「会わせない・・・。椿に会ったらもっと捻くれそう・・・。」

「何よそれ!?司にだけ会わせるなんてズルイ!」

「司は勝手について来たの。ホントは会わせるつもり無かった。。」

「まぁ、まぁ、そんな昔の話はいいじゃねーか!椿っ。響ちゃんは可愛いぞぉ。」

「ますます見たくなる!」

「もう・・・。勝手にしろっ。」

(目が痛くて痛くてそれどころじゃないんだよ・・・。)



***



「どうしよ、どうしよ、どうしよ、どうしよ・・・。亮、絶対怒ってる・・・。もう別れるって言われちゃうかもしれない・・・。」

「そんなこと無いと思うけど・・・。」

亮太がそんなことをしているとは露知らず、響は自分の教室で友達の飯野 智子に昨日の一件を話していた。

「まったく・・・。この世の終わりみたいな顔してたから、どんな事をしでかしたのかと思ったよ・・・。

大丈夫、会長さんはそんな事言わないって。」

智子はのんきにポッキーを齧りながらノートにペンを走らせていた。

「ちょっと、智子ってば!私が真剣に話をしてるっていうのに!!」

「今、あたしは忙しいのよ。英語の訳やってないんだから!」

「あ、アタシやってあるよ。見る?」

「マジ?サンキュー・・・ってか、何で響ってば珍しく訳なんてやってあるの?」

「・・・昨日、亮の家で勉強してたら教えてもらったの・・・。」

「・・・優しいなぁ、会長さん。それなのに、響はわがままばっか言って・・・。」

「むぅ〜・・・。」

響は思いっきりほっぺたを膨らませた。

「だって・・・。」

「会長さんが響のこと、大切に思ってるって周りから見てよく分かるよ?

それでも、不安?

想われてるって自信無い?」

「・・・・・・ウン・・・。無い・・・。」

「はぁ・・・。気の毒ね、会長さんも・・・。」

「え?今、何て言ったの?声小さくて聞こえなかったよ。」

智子は最後の一本のポッキーを響の口に突っ込んだ。

「・・・なんでもないっ☆ホラ、先生来た。席着きなって。」

響は不思議そうな顔で口をモゴモゴさせながら自分の席に座った。



***



昼休み、響は珍しく3年の教室に来ていた。

(そぉっと見るだけならいいよねっ・・・。そっとだもん。)

そう言い聞かせて後ろのドアから亮太の姿を探す。

(うーんとっ。あれじゃないし・・・。いないかぁ・・・。)

はぁ・・・。

ため息を一つつき、帰ろうと回れ右をしたところ、人とぶつかった。

「ごっ、ごめんなさいっ。」

「あれ?響ちゃん?」

「あ、司さん。」

「どうしたのっ?亮太探してんの?」

「え・・・。あ・・・。う〜・・・。」

響は困ったというような顔をした。

「ぷっ!」

司は響のその姿を見て、笑いが堪えきれず、噴出してしまった。

「どうして笑うんですかっ?むぅ・・・。」

「ご、ごめん、ごめん。響ちゃんがあまりにも可愛いからさ。」

「そんなこと言って!!騙されないモンっ。」

「あはっ!困ったね。・・・っと、そろそろ亮太が来るよ。」

「え?うそっ!司さん、さようなら!えっと、あたしがここに来たってコト亮には言わないでっ!!」



「どうして?」



「だって・・・。ん??(え・・・今の・・・亮の声っ??)」

響の後ろには亮太が立っていた。

「どうして響が来たってこと、僕に言わないで欲しかったワケ?」

「う・・・わっ・・・。」

「うわ・・じゃないだろ・・・。」

亮太のいつもとは違う声のトーンに、響は怖くて後ろを振り向けずにいた。

「つ、つかささぁん・・・。」

「またね・・・響ちゃん。」

司は、関わらないほうがいい、と瞬時に判断し、教室に逃げ込んだ。

「ひどっ・・・。逃げたわねっ!


「響っ。」

「はいっ!!」

「もう機嫌直った?」

「え?」

「機嫌直ったかって聞いてんの。」

「機嫌?」

「怒ってるんだろ?」

「怒ってなんか!な・・・い・・・。」

響は後ろを振り向き、亮太と向かい合わせになった。

そして意を決して亮太の顔を見つめた。

「ほぇっ?」

「何?」

響は亮の顔をみて不思議そうにしている。

「眼鏡・・・。眼鏡ないよ?どうしてっ?」

「眼鏡がいけないんだろ?眼鏡のせいで壁があるんじゃなかった?」

「・・・う、うそ・・。」

「これで、響の言う、良く分からない壁は無くなったよな?」

「う・・・ん。



・・・ねぇ、亮・・・。ごめんなさい。

いつもわがまま言って・・・困らせて・・・。」

「うん。」

「お願い・・・。嫌いにならないで。」

響は目に涙を浮かべた。

「・・ばか・・・。嫌いになんかなるわけないだろ。」

亮太はそう言うと響をそっと抱き寄せた。

そして、響の唇に自分の唇を重ねた。




















「亮はやっぱり眼鏡取ったほうがよかったね。」

「どうして?」

「キスしやすいもん。」

「・・・。」




(まったく・・・。このお嬢さんには振り回されてばっかりだな・・・。)





END








あたし、眼鏡かけてる男の人って結構好きv勉強や、本を読むときだけ眼鏡かけるとか、そういうの特に好きv
眼鏡とったら実はカッコいいっていうの憧れるし・・・・・。
眼鏡っこばんざーい!

ちなみにあたしは視力めちゃくちゃいいです。
2.0
遠くまで見えちゃいます。

この前、バイト先でメガネをかけて、女教師って言ってクルンて回ったら、
えろーいって言われた。
なんでよ。
かっこいいって言われるのを期待してたんですけどー。





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