決めたっ!!今日こそ勇気を出して言おう!!

パッと言っちゃえばいいのよ、考えるから駄目なんだってば!!

思ったことをそのまま口に出して言えばいいの。

ホラ、言っちゃえ!





ASK





「あのねっ!亮、お願いがあるのっ!!」

(廊下で突然呼び止め、急に両腕を掴んだと思ったら、なんだそれは?)

亮太は明らかに怪訝そうな顔をした。

それもそのはず、今までの経験上、響のお願いは厄介なモノだと悟っている。

しかし、そうと分かっていても、断れるはずがない。

今日も渋々その“お願い”を聞くことになりそうだ。

「なんですか?オジョウサマ。」

亮太は壁に寄りかかり、腕を組んだ。

「・・・あのねっ、あのねっ・・・あーやっぱ駄目。恥ずかしい。」

響は顔に手を当て、俯いた。

その姿を見て、亮太はますます怪訝そうな顔をした。

(恥ずかしい?なんだ、それ?今回はどんな厄介なモノなんだろう?)

その時、遠くで生徒会のメンバーが亮太を呼ぶ声が聞こえた。

「会長―!!ちょっとお願いします!」

「あ。行かなきゃ。響、その“お願い”ってなんだかわかんないけど、あんまり難しいのは止めて。」

「難しくない・・・よっ・・・。」

響の言葉を最後まで聞かず、亮太は生徒会室に入っていった。

「あー・・・行っちゃった・・・。」

響は落ち込み、廊下にペタンと座り込んだ。

響が床を見つめていると、そこに、人の影が一つ現れた。

直ぐに通り過ぎると思っていたというのに、影は一向に動かない。

響はその影を不思議に思い、見上げると、そこには響の友達である智子が立っていた。

「あ、智子だ。」

「こんなところで何をやってるの?」

「何も。」

「盗み聞きする気は無かったけど、さっきの話聞いちゃった。」

「あー、お願いのコト?」

「うん。響が何をお願いしたいのか知らないけど、あんまり会長さんを困らせちゃだめだよ?」

「分かってるよぉ。」

「それにしても、相変わらず会長さんは響に弱いのね。

響も、お願いする側ばっかりじゃなくて、たまにはお願い聞いてあげる側になったら?」

「聞いてあげる側?」

「そう。だって会長さん、いつも響のお願い聞いてるじゃない。」

「うー・・・。」

「たまにはお願い聞いてあげる側になってもいいと思うんだけどね。」

「・・・うん、そうだよね・・。そうしてみるっ!!」

響はそう言うと、勢い良く立ち上がった。



***



「・・・というわけでですね、あたしのお願いは、亮のお願いを聞いてから、聞いてもらうことにしました。」

「・・・お願いなんて無い。」

「それじゃ駄目。なんか言って?」

(困った・・・。何て言ったら納得してくれるんだ?)

数分前、急に抱きついてきて「亮のお願い、なーんでも聞いてあげるー!」と言われた時、亮太は驚き、壁に頭をぶつけそうになった。

(また!!急に何を言い出すんだ!!)

たまたまそのシーンを目撃した亮太の親友である司は、“なんでも”というフレーズに耳をピクッと反応させ、会話が途切れたのを見はからって、亮太の側に寄ってきた。

「いいなー亮太。」

「なんだよ、司。聞いてたのか?」

「聞いてたというより聞こえた。

響ちゃん、“なんでも”って言っちゃうと範囲広いよ〜?いいの?」

「うん、いいんだ。なーんでもいいのっ。何でも亮のお願い聞くことに決めたんだからっ!」

司はニヤニヤしてガシッと亮太の肩を掴んだ。

そして亮太の耳元で囁いた。

「・・・折角のチャンスなんだ、“お願い”しとけよ。

俺だったら・・・あーんなことやこーんなことを・・・。」

「あ゛―――――!!」

亮太は慌てて響の耳に手を当て、耳を塞ぐ事で司の言葉を聞こえないようにした。

「ったく!!お前はそういう考え方しか出来ないのか?」

「健全な男の子だもん。」

「あのな!!」

「いいじゃん、素直にお願い聞いてもらえば?こんなチャンス、滅多に無いぜ。」

「別にいい。多分、響の思ってる“お願い”は荷物を代わりに持つとか、そう言ったレベルなの。」

「ぷっ!!」

司はその発言に思わず噴出してしまった。

響は二人の会話が聞こえず、だんだん腹が立ってきた。

(私だけ、除け者にされてる・・・。

なんで?やだっ!!)

「ねぇ、何を話してるの?・・・ねぇってば!!」

響が二人の制服の裾を引っ張り、くりくりとした大きい目で二人を交互に見つめた。

まるで小動物のようだ。

亮太は思わず、響の耳を塞いでいた手を放してしまった。

司は少し屈み、響と目線を合わせるとニコっと笑った。

「可愛いー響ちゃん。」

司はそう言うと、響の頭を撫でた。

「なぁ、響ちゃん、俺、亮太が喜びそうな事知ってんだけど。」

「なに?なにそれ?」

響はすぐさま瞳をキラキラと輝かせ、司を見つめる。

亮太は慌てて響と司の間に入り込み、響の背中を押した。

「聞かなくていい、帰ろ。」

「えー?ヤダ。聞きたい。」

「・・・いいから。」

「・・・ちぇっ。じゃあまたね、司さん。また今度教えてね。」

「今度ね。」

司は手をヒラヒラ振りながら二人を見送った。

「“お願い”はどうなることやら?」

司はニッと笑みを浮かべた。



***



「亮、亮ってばー!!」

「何?」

「早く“お願い”を言ってよ?」

「・・・だからいいって。」

「それじゃ駄目なの。」

亮太はため息を一つ吐き、言った。

「じゃあ、響にはまた今度、“お願い”聞いてもらう。

響のお願いは何?」

「・・・えっと、あのね。」

急に立ち止まり、その場で恥ずかしがる響の姿を見て、亮太は考え込み始めた。

(やっぱりワカラナイ。何を恥ずかしがってるんだ?)

亮太は考え込んでもしょうがないと自分に言い聞かせ、直接響に聞くことにした。

「何を恥ずかしがってるの?」

「・・・。」

「あと3秒以内に言わないとその“お願い”は一生聞かないからね。

さーん、にー・・・。」

「嫌だっ!!言う、言うから待って!!」

響は慌てて亮太の制服を掴んだ。

響の必死な姿を見て、亮太は思わず笑ってしまった。

「何?」

響は深呼吸を一つし、気持ちを落ち着かせると、背伸びをして亮太の耳元で囁いた。

「あのね・・・手を・・・手を繋いで欲しいの・・・です。」

「・・・手!?」

(な・・・何を言い出すんだ?)

「駄目?」

響は俯き、自分の制服の裾をギュッと握り締めた。

「駄目じゃない・・・けど、何で急にそんなこと?」

「・・・だって、クラスの女の子が言ってたんだもん。好きな人と手を繋ぐのが好きだって。

亮とあたしって、手を繋いだ事ってあんまりないでしょ・・・。だから、なんか急に手を繋ぎたくなって・・・。」

「・・・手、出して。」

亮太の言葉に響は直ぐに反応し、手を差し出した。

亮太は響の差し出された小さな手をそっと握り締め、再び歩き出した。

「・・・何で早く言わないの?手を繋ぎたいって。」

「・・・恥ずかしかったんだもん。」

「何を今更・・・。」

「今更だから言いにくかったの。」

「ったく・・・。今回はどんな“お願い”されるのかと思ってビクビクしたよ。」

「難しくは無かったでしょ?」

「そうだね。」

「亮の手っておっきいねぇ〜。」

「そう?」

「うん。それに、なんかごつごつしてる。」

「・・・男だからでしょ。」

「・・・なんか安心する。亮と手を繋ぐと。

・・・なんでかな?亮と一緒だって実感できるからかな。

こうしてると、もし、真っ暗なところに居たとしても、亮と手を繋いでいれば、亮と一緒に居るんだって分かるから、あんまり怖くない。

やっぱり手を繋ぐのっていいなぁ。」

「そうだね、僕も、響がどこかに行かないように捕まえておけるから手を繋ぐっていうのはいいかもしれない。」

「どこかに行かないようにって・・・あたし、子供じゃない!どこにも行かないもん!」

「ハイハイ、子供じゃないです。」

亮太は笑いを堪えて響を宥める。

しかし、その行為は響を更に不機嫌にさせた。

「・・・絶対子供扱いしてる。」

「してない。」

「・・・ウソだね。最近特に子供扱いするようになった。」

「子供扱いしてるつもりはないけどね。」

「ちょっとだけ年上だからって!偉そうにしないでよー!」

「響は僕のこと、年上だなんて全然思ってないくせに。」

「・・・思ってるよ。・・・いつも思ってる。」

響はそう言うと、急にピタッと足を止めてしまった。

そして自分の足元をじっと見つめ始めた。

「響?」

(どうしたんだろ?)

心配になり、声を掛けると響は絞り出すような声で呟いた。

「悔しいな、なんでもっと早く生まれてこなかったんだろ?」

亮太はそれを聞いて、ハッとしたような顔をした。

(響の気持ち、良く分かる。

 僕自身、そう思ったことがあったから・・・。)

「あたしね、亮と一緒に授業受けたり、クラスの行事とかやりたかったの。

同じ年のカップルみてると、羨ましく思っちゃう。

あたしと亮は、あと1年も一緒に居られないっていうのに・・・。

あ、だからって亮に留年とかして欲しいってワケじゃなくて・・・。」

響がそう言い終わらない内に、亮太は響を抱きしめた。

「!!・・・亮?」

「・・・お願い。

もう少し、もう少しだけでいいからこのままで・・・。」

「・・・うん。」



***



いつの間にか辺りは暗くなっていた。

そして、電灯の灯りを頼りに、お互いの手を握り締めたまま、また二人は歩き始めた。

「初めてだったよね、亮が“お願い”なんて言ったの。」

「・・・忘れて。」

「いーえ、忘れませーん。」

「・・・もう響のお願いなんて聞かない。」

「・・・エ!!ヤダヤダー!!」

「もう駄目。」

「りょーちゃんてばぁー。」

「そんな甘えた声出しても駄目。」

「むぅ。」

(そうは言っても、また“お願い”を聞くことになるんだろうな。)

自分の響に対する甘さに呆れつつ、亮太は隣に居る愛する彼女を想って、にこやかに微笑んだ。




END



甘やかしすぎですね、亮太ってば。そんなことしたら駄目ー!!なーんて思いつつこんなの書いちゃいました。
手を繋ぐのっていいよね。あたしは結構好き。男の人の手ってやっぱり自分と違うから。

あたしはよく、人の手を見ます。綺麗な手をしている人に惹かれるよ。
人の第一印象は手で決まると言っても過言ではないかもしれないね。
どっかのお偉い社長さんは、大切な商談の前は、爪を綺麗にするんだって。
男の人でも、爪を綺麗にするのは良いことだと思われます。
マニュキュアはパスだけど。男のマニュキュアはどうも好かん。

あたし、マニュキュア塗るのだーいすき。
ネイルアートだーいすき。
綺麗に塗れると嬉しくなっちゃうんだよね♪
爪磨きはめんどいから好きじゃないけど、爪いじるの、好きだなぁ。
そういや、ウチのお兄ちゃん爪磨きウマイ。 やってぇーって甘えた声出したらやってくれる。
すっげー力入れるから磨かれるときに、熱いんだけど、終わった後、ぴっかぴかになる。

お願いには甘えた声が一番良いと思われます。
誰だって可愛くお願いされたら断れないんだよ。きっと。

読んでくださり、ありがとうございました。
canonの二人の話、まだまだ続きそうです。(笑)





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