ここはローズアイランド。周りを海で囲まれているわりと大きい島だ。
島の名前にローズとあるが、この島には薔薇の花はひとつも存在しない。薔薇が育たない環境なのだ。
では、どうしてローズアイランドというのだろうか・・・?
この島の名前の由来を知るひとは誰も居なかった・・・。
ピィルはグレーフィンをいつも遊び場にしている洞窟のような場所に連れて行った。
「どこに連れてきてくれるのかと思ったら、ココって・・いつもの場所・・・。」
「そう言うなよ。ここでいいモンを見つけたんだぞ!!」
「いいモン?」
「見ろよ・・・。これ・・・。」
ピィルは石壁の一箇所を指差した。
「何?」
「ほら、ここ、ちょっと光ってるだろ?これって絶対宝石だ!!」
指差した先には、ほんの少し、光輝くものがあった。
「昨日、ここに忘れ物しちゃってさ、グレイと別れてから夜に一人で、またここに来たんだ。
そしたらなんか光ってるコレを見つけたんだよ!!
グレイ!!ちゃんと見てみろって!宝石だろ?」
「本当に宝石かなぁ?ガラスって感じ、しなくもないけど・・・。」
「宝石に違いないって!!ほら、グレイ用の鑿。これで宝石の周りの石を削るんだ!
宝石を傷つけないように慎重に削るんだぞ!!」
「わかったよ・・・。」
しばらく、二人で宝石らしきものの周りを削っていると、二人の幼馴染のソルフェージュが歌を歌いながら来た。
「♪ル〜ルラ〜、ル〜ルラ〜、ル〜ルラ〜ルル、ル〜リラ〜。」
「ソルフ!おはよ☆ソルフも削るの手伝ってよ!ピィルがコレ、宝石だって言ってるんだけど・・・。」
「絶対宝石だ!!ソルフにも分け前やるから手伝ってくれよ!」
「いやぁよ。あたし、今日は歌う日って決めたの。」
「じゃあなんでココに来たんだよ!」
「来ちゃ悪い?グレイ達が何やってるのか見たかったの。
でも今日はつまらなそうだから行くわ。
宝石らしいモノが出てきたら教えてね。多分、今日はずっと、灯台の下で歌ってるから・・・。じゃあね。」
ソルフェージュが居なくなると、ピィルが叫んだ。
「なんなんだあの女は!!宝石が出てきたってあの女には見せねえからな!!グレイ!!頑張って削るぞ!!」
「はい・・はい・・・。」
(ふう・・・。ちょっと一休み・・・。)
グレーフィンがそう思い、壁に寄りかかった。その瞬間、目を開けていられないほどの光が宝石らしきものから溢れ出した。
そして、それとともに、グレーフィンの肩に激痛が走った。
「痛ッ!!痛い!!ヴッ・・・。」
「グレイ?どうしたんだ?何があったんだ?・・・何だ?この光は・・・。」
「痛い・・・。なんか・・・。アザが痛い・・・。」
「アザ?」
グレーフィンには、肩にバラの形をした、一つのアザがあった。
グレーフィンは其処が痛いと言い、手でアザの部分を押さえるように触るが、痛みは引かない。
急に、ふっ、と光が消え、壁から水晶玉がゴロリと落ちた。そしてグレーフィンのアザの痛みも嘘のように引いた。
「グレイ!大丈夫か?アザが痛いって・・・。」
「大丈夫・・・。なんか急にアザが痛み出したんだ・・・。」
「アザって・・・。肩にあるバラの入れ墨みたいなアザか?」
「うん・・・。なんかあの・・・。宝石みたいなヤツに触れたら急に痛み出して・・・。あ!宝石!!」
ピィルが水晶玉に走り寄って、それを拾い上げた。
「これ・・・。宝石じゃなくて・・・。水晶玉だ・・・。」
「ん?その水晶玉の中・・・なんか入っているね?なにが入っているの?」
「人形だ・・・。人形が入ってる!これ、結構重いぞ!グレイ!持ってみろよ。」
ピィルの側に行き、グレーフィンが水晶玉を受け取ると、水晶玉が砕け散った。
「ゲ!!」
「グレイ―!!」
「ゴメン!!でも僕・・・。持っただけなんだけど・・・。」
「とにかく欠片を集めよう。グレイ!その足元にある人形、拾ってくれ。」
「うん・・・。」
グレーフィンが人形を拾い上げた瞬間、その人形が目を開けた。
「う゛わーっ!!!」
驚きのあまり、グレーフィンは思わずその人形を放り投げてしまった。
そしてその人形は美しい弧を描き・・・ピィルのパーカーについているフードの中にスポッと入った。
「何なんだよっ!!」
「・・・人形が・・・。人形が・・・。目!開けた!!」
「何バカな事言ってんだよ・・・。人形が目を開けるはずが・・・。」
人形がパタパタと羽を羽ばたかせ、ピィルとグレーフィンの前を飛んだ。
「「生きてるッ!!」」
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