保健室には、2人しか居なかった。

ベッドで寝ている竜兎と、その側に立っている姫乃だけが・・・。

教室の前で竜兎が倒れた後、洸希はクラス中に聞こえる声で竜兎が倒れたと皆に伝えた。
その声を聞いて、姫乃は洸希と共に保健室に行くと、保健の教師が外出中で、留守との事だった。
そしてとっさに、洸希に自分が診ているといったのだった。



姫乃は、竜兎の寝顔を見ながら、心の中で静かに語りだした。

(ねぇ・・・竜兎。私、竜兎が好きだよ・・・。でも、私がこんなこと言ったら、竜兎は困った顔するんだろうね?)

姫乃は少し前から、竜兎のことを気になり始めていた。
でも、想いを告げてしまえば、自分と竜兎と洸希との関係が壊れてしまうだろう。
そうなることを恐れて、姫乃は竜兎に想いを告げることが出来ずにいた。

(竜兎は私のことどう思っているの?教えてよ・・・。竜兎・・・。)

姫乃は、竜兎の唇に自分の唇を近づけようとした、その時、急に強い風が吹いて保健室のカーテンを揺らした。

まるで、姫乃の行為を邪魔するかのように・・・。

姫乃は、動きを止め、隣のベッドに勢いよく倒れこんだ。そして左腕を自分の目の上にかざした。

「私ってば、何やってんだろう・・・。馬鹿みたい・・・。」

姫乃は自分のとった行動にあきれると同時に、恥ずかしく思えてきた。

(竜兎の気持ちもわかんないのに・・・。私ってば本当に何やってるんだろ?)

その時、急に竜兎が少し動いた。

「ん・・・。」

「ん?竜兎?起きた?」

姫乃が起き上がり、竜兎に話しかけると、竜兎は小さな声で何かを呟いていた。

「寝言?竜兎ってばかわいい!何?何ていってるの?もう一回言ってくれないかな?」

「・・お・・・。・・・り・・・璃麻・・・。」

「え?・・・・・・。」

(り・・・お?・・・って・・・?誰?)

「・・璃麻・・・。俺の側にいて・・・。」

その時、保健室のドアが勢い良く開いた。なぜか姫乃は、反射的に隣のベッドに潜り、カーテンを静かに閉め、隠れた。

(私ってば、ホント・・・何やってんの?なんで私が隠れるのよ?)

「センセ・・・。先生・・・居ないんですか?」

(先生居ないって言ってあげたほうがいいのかな?)

姫乃がそんな風に考えていると、声の主が竜兎のベッドの横に立ったようだった。

(え?・・・誰?)





  



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